コラム

2015 年 版

旅先でもっと食事を楽しむためにin温泉宿

がん治療では、治療の副作用が原因で、今までにはない様々な身体への変化が起こることがあります。ほとんどは一時的な症状ですが、中には、元にもどるまで、少しだけ時間がかかる症状もあります。
患者さんや家族は治療の合間の息抜きに、家族との思い出づくりにと、ピンクリボンのお宿を使われることがあります。ここにある症状は、全部が全部、必ず起こるわけではありませんが、ほんの少しだけ、予備知識もっていてもらえると、うれしいです。

著者:桜井なおみ
イラスト:石井陽子

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味の調整で食べやすく

味の調整で食べやすく

甘いものが苦く感じてしまったり、塩加減がわからなくなっていたり、味覚が今までと違って感じることがあります。家で料理をするときは自分で調整できますが、外食では、なかなかできず、苦労をする患者さんは少なくありません。
そんなときに有難いのは、テーブルの上に味が調整できる調味料が置いてあること。また、口内炎ができている患者さんなどもいますので、酢の物なども味の強弱はなるべく自分で調整できるとうれしいですね。

お箸以外の道具を使って

お箸以外の道具を使って

手先に痺れる副作用が出て、お箸などの道具が使い難くなる方がいます。今まで出来ていたことができなくなる...これはとても辛い思いです。
高齢者や海外の方でも、お箸が使いにくい方はいらっしゃいますから、ちょっと食べにくいお料理のときには、配膳したときにさりげなく「とりやすいお道具をお持ちしましょうか?」の一言や、あらかじめお洒落なスプーンなどが置いてあるとうれしいですね。

目でも楽しめる料理

目でも楽しめる料理

旬の料理をたくさん食べられるのは本当に幸せなことですが、脂肪はがんのリスクを高めてしまうため、患者さんの中には「太る」ことを心配されている方も少なくありません。選択肢の一つとして、地場野菜中心のコースやカロリーを抑えた食事などを選べるとうれしいです。そのとき大切なのが見た目!ちょっとした彩が添えてあると、心は華やぎます。器も含めて、素敵な演出があると食も進みますね!

料理の温度や素材説明の言葉を添えて

 料理の温度や素材説明の言葉を添えて

患者さんの中には、香りや温度を感じ難くなってしまっていたり、口内炎がある方もいます。出てくるお料理の説明をするときに、熱いのか冷たいのか、どんな香りがするのか、何が使われているかなど、言葉も添えてもらえると、直接的には感じ難い症状があっても、家族とお料理を一緒に楽しめます。

素材へのこだわり

素材へのこだわり

治療中の患者さんの中には、免疫力が落ちていて、生モノなどに当たりやすくなっている方もいます。また、薬の副作用でお腹をこわしやすくなっている方や塩分の摂取を控えなければならない方もいます。食べ物について何か特別な注意が必要な方はお医者さんから説明を受けているはずですから、苦手なものは予約時の電話やメールでお宿にあらかじめ伝えましょう。
「お料理注文票」などがお宿に用意されているとうれしいですね。
 

著者プロフィール

桜井 なおみ

NPO法人HOPEプロジェクト理事長
一般遮断法人CSRプロジェクト代表理事
キャンサーソリューションズ(株)代表取締役社長

2004年夏、30代でがんの診断を受ける。その後、自らのがん経験や社会経験から小児がん経験者や働き盛りのがん経験者支援の必要性を感じ、2005年から、がん経験者・家族支援活動を開始。
07年には、東京大学医療政策人材養成講座に参加。筆頭研究者として「がん患者の就労・雇用支援に関する提言」を発表。以来、一貫して社会と医療の間を結ぶ様々な問題に取り組む。
サイバーシップの啓発・普及を目指して奔走中。

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※本コラムコーナーでは「ピンクリボンのお宿」冊子に過去掲載したコラムを再編集し、ご紹介しています。
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